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ぴくしぶ





載せていいって言うから

続きからネ申こと松さんの誕生日記念に送りつけたSS載せておきます。
掲載許可とってあるし、例えまだ向こうが載せてなくてもこっちで載せてもいいじゃない?ってwww
要するにネタがないんだって(ry
学パロ=タイトルストックを作らないといけない
短編=思うようにネタに出来ない
うん、言い訳なら十分だ(マテ

※閲覧するに当たっての注意

・pkmnxりりかるなSS、割合は90x10。
・金銀知ってればなんとかなりますwいや出てくるpkmnイーブイだけwww
・出てくるりりかる執務官ず(殆どティアナさん←
・作中の一年前、とは昨年もネ申にかなりカオスなSSを押し付けた意。
・去年よりカオス分は低め。
・短編では決して言えないwww
・pkmnメインなのでりりかるが適当(専門用語はチラホラ出てくるけど解説一切なし

それでもいいぜって方だけ続きからどうぞw
【It is bonds to reach friendship for instance.】

それはサファリゾーンへ向かう途中に出会った。
いつものように後ろを歩いていた時に見えた、一匹のイーブイ。
私は自然と声を掛けていた。
〈あの…大丈夫ですか?〉
声は返って来なかった。完全に気絶している。
早くモミジさんに知らせてポケモンセンターに連れて行ってあげた方がいい。
モミジさんは私のトレーナーでもある、優しい人だ。
「どうしたの?シェイク…って、イーブイ!!倒れてるっっ!?」
ちなみにシェイクとは私の名前。モミジさんは極度のイーブイ好き。
自分もイーブイだけれど親はモミジさんじゃなかったりする。
この辺は話し出すと長くなるのだけれど、最初にゲットされたのは立派なお屋敷で、だったと思う。
自分なんかをゲットするなんて、と思っていた。そう、私は他のイーブイとは毛色が違う。
人間の間では色違いとか言われているらしいけれど…。
モミジさんがイーブイを抱き上げると気が付いたのか、そのイーブイが目を開けた。
ポケモンセンターに急いで行くよ、と私に声を掛けて走り出すモミジさん。
腕の中のイーブイが呟いた一言が耳に届いた。
〈いった…一体どうし、?〉
〈大丈夫です、すぐに治療してくれますから〉
返事はなかった。また気絶してしまったから。でも声を聴いて判った。このイーブイはメスだ、と。
幸いにしてイーブイの傷はそんな大したこともなく、一日寝てれば完全に回復するだろう、との話。
モミジさんはあのイーブイが野生のポケモンなら回復を待ってゲットする気で満々だった。
「待ってね、シェイク。もうすぐでお友達が出来るから」
訂正。ゲットした気で満々あった。無理もない気がする、と思う。
私以外のイーブイは殆ど進化済みなのだ。多分、私だって時が来れば進化すると思う。
誰に進化予定なのか判らないけれど。



結界は張っていた筈。この辺りにロストロギアがある、と聞いた時は
内心この世界とは何かあるのかと思った程だ。以前、正確には一年前…訪れた際には
なんとか回収出来たが、今回は極めて危険極まりない、と事前調査で判っていた。
だから結界を張って捕獲チームも選りすぐりの魔導師を集めて回収に向かった。
迅速な対応の元、最後の一つの封印直前まで持って行けたのは覚えている。
だけどそれからどうしたのか判らない。思い出すにしても…何かが邪魔した。
薄暗い中で目を開けると、白い天井が見えた。どうやらベッドに寝かされているらしい、と
解っても自分の姿に違和感を感じざるを得ない。
だるい身体を無理に起き上がらせて鏡を見ようとして…自分の足を見た。
いくら暗いと言っても、目の前にある物くらいはぼんやりと判る。
〈こ、れ…あたしの足じゃない。確か―――〉
ポケットモンスター。この管理外世界の住人のよきパートナーである獣達の総称。
通称はポケモン。それが何故あたしの足に、いや。
〈もしかしてあたし、が…〉
口にして背中に悪寒が走った。薄々は感じていた。
全身がもふもふするのだ、人間の身体じゃない、と。
とりあえずここを出ようと決めた。ロストロギアが発動したならば説明はつくし、
回収にやって来た他の魔導師の皆さんと早く合流しないといけない。
念話、は通じない。この姿なのだから半分は諦めていたのだが、もしかしたらと
思っていただけにちょっとショックは大きかった。
部屋を出ると前に進めなかった。誰かがあたしの尻尾に当たる部分を引っ張っている。
それほど痛くないのは引っ張る、と言うより押さえていると言った感じだからなのか。
〈ダメですよ、安静にしてないと…〉
〈誰?いや、それより離してくれない?尻尾〉
〈朝までポケモンセンターにいてくれないと、離しません〉
笑顔で言われた。そんなこと言われてもこちらも急いでいるし、などと思っていると、
目の前のポケモンのトレーナー…であろう女の子がやって来た。
「逃げちゃダーメ!しっかり回復してくれないと捕まえらんない」
〈モミジさん…まだこの人が野生かどうかも判らないのに〉
野生じゃないけど捕まえられる訳にも行かない。そう思いつつも、モミジと呼ばれた女の子の
手によってあたしはポケモンセンターに引き戻されるのであった。



〈改めて初めまして。イーブイのシェイクと言います〉
「さって!シェイクのバトル慣れも兼ねて、早速始めますか」
可笑しい。ポケモンセンターを後にしたのはいいが、何故、バトルすることになってるんだ。
あの時。何も言わず逃げるのもどうかと一瞬躊躇ったのがいけなかった。そう、一瞬で。
〈どうしてもバトルしなくちゃいけないの?〉
〈は、はい…それとも貴女はやはり誰かのポケモンさんですか?〉
〈そうじゃないけど〉
ポケモンじゃないし、と目の前の銀色のイーブイ、シェイクに言える訳もなく。
言っても何も解決はしない。ロストロギア―――結界を張って慎重に封印作業をしていたのに
何故発動したのか、それを解かない訳には、何も得ることは出来そうにないし…
このままの姿な気がした。
「シェイク、先手必勝!電光石火」
〈え!?ああ…モミジさんの悪い癖が。とりあえず行きますね?〉
〈行きますね?じゃなくt〉
慣れない身体。諸にヒットした。起き上がろうとするも、つい二足歩行が頭に刻まれてるのか、
上手く起き上がれなかった。依然体勢が悪い中、モミジと言う女の子からの攻撃命令は続いた。
〈モミジさんは貴女をゲットしようとしてるから瀕死にはさせません〉
〈そういう…ことが言いたい訳じゃなくて〉
反撃しようにもふらふら状態のあたしに、攻撃の手が止まる。
見ると例の女の子が自分のバッグから色んなボールを取り出していた。それを見てゾッとする。
一年前の記憶が蘇ったからだ。あの時は人間の立場でただ傍観していただけだったけれど、
確かポケモンはモンスターボールで捕まえると聞いた。彼女が持ってるのがそれなら、
多分今からあたしは―――想像しただけで恐ろしい。
「ボールは…捕まえられなかったらアレだし最初はモンスターボールで」
などと呟きながらボールを投げる彼女。どうなるのかはあたしにも判らない。
だけどもし捕まる、なんてことになったらそれこそ一大事な訳で。
そうこう考えてる間にボールは眼前に迫っていた。
〈仲間になったら…仲良くして下さいね?〉
銀色の毛並みが風に揺れた。
何が起こったのかは、すぐには解らなかった。自分の周りにはボールの残骸らしき物。
あの時ボールに吸い寄せられる感じはあった。ということは。
〈…ゲットされんの?あたし!!ちょ、それだけはヤダ〉
逃げようとしたけれど、また四足歩行に手間取ってコケた。ボールはその間も途切れない。
あのバッグに一体いくつ入ってるんだと思ってしまうぐらい投げた後、あたしは諦めることを選んだ。



目の前のイーブイさんはかなりゲットされるのが嫌な様子だった。
それを思うと出会ったのが私達で不幸だなって思う。モミジさんは狙ったイーブイは逃さない。
でも。あそこまで粘られたのは私が来てから初めてなんじゃないだろうか。
辺りは使えなくなったボールだらけ、それと一つのボール。
そこには先ほどのイーブイさんが入っている。モミジさんは大変嬉しそうにボールから
イーブイさんを出していた。
「新しいお友達だよ、シェイク」
〈えっと……これからよろしくお願いします、ですね〉
〈や、ゲットされたの?あたし。かなり嫌なんですけど〉
〈そうは言いましても…捕まったってことは、貴女は野生の〉
〈野生の…何?ポケモンだとでも?うん、まあ見た目はそうね〉
この人が何言ってるか解らなかったけど、多分ゲットされて混乱してるんだろうと結論付けた。
それよりも言っておきたいことがある。
〈モミジさんはゲットしたら名前付けるんですよ〉
〈名前、って名前?〉
〈私はモミジさんのお友達から貰った名前なのですけど〉
〈ち、違う!あたしには名前あるから。てかこの状況を、ね〉
〈あるんですか?名前〉
「シェイクー、イーブイも。君の名前決めるから来てー」
絶妙なところでモミジさんが声を掛けてきた。どうやらさっきまでポケモン図鑑を使って
この人の性別や性格、特性なんかを調べてたみたいだ。
そういえば、バトル中一度も逃げなかったのは
この人の特性は適応力の方なんだろうか?訊いてみたかったけれど、訊けなかった。
〈偽の名前勝手に決められる……〉
物凄い負のオーラを出されていては訊く物も訊けない。
私はモミジさんとイーブイさんとを交互に見やりながらどうした物かと思っていた。
そこへ何かに気付いたのか、イーブイさんはとてとてと
慣れない歩き方でモミジさんの横を通り過ぎていく。
〈あ、あの…?〉
「ちょっとー?待ってイーブイ!」
〈これ、で…なんとか、出来…れば。出来る、出来る子だ。あたしは〉
〈何するんですか?〉
〈名前を書く!〉



新しくゲットしたイーブイはあまり懐いてくれてなかった。
いや、初めから懐いてる、なんて思っていないけれど。でも。
(ボール、選べばよかった…フレンドとかゴージャスとか)
名前を決めようと呼んでも私の横を通り過ぎた。シェイクも困惑気味。
もしかしなくても嫌われまくってるんじゃ。気にしてても仕方ない。まずは名前を考えないと。
「あれ…?どうしたの、シェイク」
〈きゅ…きゅー〉
思えばあのイーブイはシェイクとはよく話をしていた、けど。
そのイーブイの方を見ると、器用なことに枝を前足で掴んで何かやっている。
え?何をイーブイがやってるって!?
「え、何してるの?イーブイ!?」
私の声を聞いたのか、こちらに顔を向けたイーブイ。それも一瞬ですぐに元の作業に戻る。
地面に枝で何か書いている。こんなことポケモンに出来る訳……
でも実際私の目の前で行われてるのはなんだ?シェイクが時々、
イーブイの尻尾で遊んでいたが邪魔そうにそれを見るとシェイクも遊ぶのを止めた。
数分経って、文章のような物が出来た。軽く驚きつつも混乱しつつある頭を整理しようと試みる。
〈きゅ!きゅー!!〉
シェイクもそれは同じようだった。イーブイにじゃれ付きながら尻尾に纏わり付く。
とりあえずシェイクを抱えて、文章を読んでみることにした。
「えっと…『あたしは、にんげん…なまえは、ティアナ』え?」
目を丸くする私とシェイクに、これを書いた当のイーブイは枝を離して右前足を舐めていた。
硬直したまま動かない私とシェイクを呆れたような目で見たイーブイは
そのまま私の足を突っついてみた。流石に我に返った私は
目の前のイーブイに尋ねるように問いかける。
「え?人間って人間?違う、そんなこと訊きたいんじゃなくて!」
〈きゅーきゅー!〉
シェイクが地面に降りると、イーブイと話し始めた、ように見えた。
トレーナーがしっかりしなきゃどうするんだってことは解ってるけど
こればっかりは。落ち着こう、深呼吸。
「大体、ポケモンダンジョンじゃないんだから!そんなことある筈…」
独り言も虚しく消える。何故かイーブイの目線が痛かったが気にしない。
確か文章には名前はティアナとか書いてあったけど。
〈きゅ、きゅー〉
信じないのはトレーナー失格だし。意を決してイーブイの方に向き直る。
「ねえ、あの文章がホントなら人間語とか解るの?」
〈きゅ………きゅ〉
「ああ、そっか。はいなら右手、いいえなら左手タッチして?」
タッチしやすいように低く屈みながら。イーブイも趣旨は理解したようで。
シェイクはその様子を傍で見守っていた。



さて、どうするか。一応は言う通りに動こうとは思う。
正直言ってこの身体で文字を書くなんて無茶はもうゴメンだった。
まだ痛さが走る前足をチラリと見ながら彼女、モミジが掌を前に出す。
イエスかノーで答える為に。殆ど右手をタッチしそうで怖かった。
「えっと、改めて。人間語解る?」
〈解る、と〉
「わっ!凄い。ね、シェイク」
〈こっちに振られても…えと、ティアナさんでしたっけ?〉
〈何?どうでもいいけどご主人様のイーブイ好きは自重した方がい〉
「それじゃ、次の質問。人間ってのは『なりたい』ってこと?」
〈違う!てか、撫でるな〉
そう、モミジはさっきから色々な場所を撫でまくっていた。正直勘弁して貰いたい。
差し出された左手を思いっきり叩きながら、あたしは先行きが不安で仕方がなかった。
「それじゃ…元人間?ポケダンじゃないってば!」
〈さっきから言ってるけど、何アレ?〉
〈気にしないで下さい。モミジさんの悪い癖です〉
〈どんだけ悪い癖あんのよ、アンタのご主人様は〉
シェイクは苦笑いで返しながらも、それでもポケモン想いのいい人ですよ?と言葉を発した。
未だブツブツ言っているモミジを見て思う。正体が判ったところでどうなる訳でもない。
さっさと動きたいのは確かだけど。
「そういえば…ティアナはどこから来たの?」
考えてる間にモミジがあたしと目線を合わせてきた。そんなこと訊かれても答えられない。
一応、最後のロストロギアを封印しようとした場所までは離れているみたいだけれど。
〈てか…コミュニケーション取れないわよね。もう書きたくないんだけど〉
〈ですよね、何か手があればいいんですけど〉
「あ、そうだよね。理解は出来ても喋れはしないもんね!」
納得するモミジはまたバッグからゴソゴソと何かを探し始める。
そんな都合よくことが進む訳じゃない、とあたしはシェイクに向き直る。
〈あのさ、あたしの仲間、てか上司と同僚もあたしを捜してると思うんだ〉
〈あ、お一人じゃなかったんですね…〉
〈そうだけど…何、寂しいの?〉
冗談めかして言ってみたのだが、返事はなかった。ありゃ?図星か。
〈寂しい、ですかね?昔から体毛の所為でいい思いはしてませんから〉
〈ああ、それ?綺麗でいいと思うけど〉
〈そんなことありませんよ、私なんか……〉
〈アンタの攻撃、結構決まってたんだけど。それも否定する訳?〉
〈それは…でも〉
まだ何か言う前にあたしは、モミジの呼ぶ声を聞いた。



自信が持てないだけ、と言う前にモミジさんが私達を呼んだ。
モミジさんが何か見つけたのだろうか?見つけたとしてもモミジさんだ。
あまり期待はしてはいけない気がした。失礼だけど。
「これ、必殺!五十音早見表、今作った」
〈……何かと思えば〉
〈え、でもこれでコミュニケーションの方は〉
〈かも知れないけど。なんか…馬鹿にされてる気分〉
〈そんなことはない、と思いますよ?〉
「さ!さっきの続きだよ。どこから来たの?」
そう言ってモミジさんはティアナさんの目の前に早見表を置いて、答えを待っている。
今作った、と言っていたこともあって文字はお世辞にも綺麗とは言い辛かった。
ティアナさんが早見表で教えてくれた場所は聞いたこともない地名だった。
いや、地名なのかどうかすら怪しい。モミジさんもそれは同じようで首を傾げていた。
〈ティアナさん…そこって〉
〈話すと長くなるから話さない、それに〉
「え、何?」
早見表に向かうティアナさんにモミジさんは軽く驚く。
そこには先程話したティアナさんを捜しているであろう人のことを簡単にモミジさんに知らせた。
〈ティアナさん、人間ですよね?〉
〈何よ、今更〉
「え、えー!?ティアナって魔法使うの?」
〈ご主人様が何か夢見てるようだけど…現実はそう甘くはないのよね〉
〈どういう…意味ですか?〉
〈知らぬが仏って言葉教えといてあげるわ〉
モミジさんは未だ魔法と言うキーワードに興奮していた。
そんなモミジさんを見ながらティアナさんは時間がないんだと伝える。
「わ、解かってるよ。ティアナのお友達捜しすればいいんだよね」
〈お友達、って上司と同僚だって…無理か、まだ子供だし〉
〈ティアナさんってモミジさんより年齢上ですか?〉
〈…………かなり、ね〉
こうして思うように歩けないティアナさんをモミジさんが抱いて、私はその後に付いて行った。
行く先はアサギ。モミジさんのお腹が空いたの声であの町の食堂へと向かう。
「それにこの時間帯、ミカンさんが食べてるし!ね、シェイク」
〈ミカンさん目当てですか、やっぱり〉
タンバの端まで来ると、海が見える。
そこから北に向かうとアサギに行けるけれどモミジさんはこう言うだろう。
「鳥ポケ使えば早いよね、ってことでシェイク、ティアナも」
こうして私達はアサギまでボールの中に納まった。



数十分は不思議な感覚があたしを支配する。
それがボールの中に入っていることだと理解するのにそんな時間はかからなかった。
こうしてる内にもやっておくべきことがないかと思考を巡らす。
あたしからは魔力は感じられないだろう。でも、向こうは…そこまで考えて。
極力魔力を感じさせないようにしていたら、あたしにだって捜し出すことは困難だ。
それに結界を張っている可能性もある。
まだそっちの方が探索の上では見つけやすいかも知れない。
だけれど、シェイクやモミジにこれ以上関わって欲しくないって言うのも本音だった。
急に視界が開けると共に引き寄せられる感覚。ボールの外に出されたのだ。
と、いうことは町に着いたのか。同じくボールから出てきたシェイクと目が合う。
巻き込みたくないなどと思いながらも、どこか一緒にいてくれてホッとしている自分がいた。
〈それで…どこ?食堂って〉
〈近いですよ、ここから〉
「あー!また二匹仲良くしてー。私も会話に入れて!!」
無理。幾ら早見表があるからって所詮話せない限り無理なモンは無理だ。なんて言わないだけ。
言ったところで何が変わる訳じゃないし。あたしはシェイクをせっついて、例の食堂に向かわせた。
後ろからモミジの声が聞こえたが、わざと聞こえないふりをして。
歩くのは慣れていないが、動物をイメージすればなんとかなっている自分が悲しかった。
〈いい匂い。海が近い所為もあるからかな?〉
〈そうですね、ここの食堂はかなり美味しいですから〉
食堂前までやって来た時、中から女の人が出てきた。
ちょうどモミジも到着し、その人に向かって話し始めた。
「あ!ミカンさん。食事終わっちゃったんですか!?」
「こんにちは。えっと…たった今終わったところです」
「そうですかー、残念」
「それに今日は沢山お客さんが来ているから、早めに帰ろうかと」
「あれ?アクア号って今日動いてましたっけ」
ミカンと呼ばれた女性は、そうですね、と続けながら話し始める。
高速船アクア号、実際に今日は動いていないと。そして食堂が混んでいた理由を話し出す。
「普段はアクア号の乗組員さん達が多いんですけど、あの人達は―――」
そこであたしは一つの仮説を立てる。だからシェイクに予め伝える。
〈あのさ、あたしが中に入って騒いでも静かにね?〉
〈え?ティアナさん、それってどういう…〉
いつの間にか話し終わって帰ってしまっていたミカンという女性を名残惜しそうに
見つめるモミジのバッグから、早見表をぶん取ろうとしてコケた。
まだ身体が慣れていない証拠だ、いや慣れるのもどうか。
「何?何か伝えたいの、ティアナ」
モミジが早見表をくれたので望み通り伝えてみる。
〈あの、ティアナさん……〉
〈静かにしてくれればいいのよ、要は〉
「んー?『あたしが、しょくどうで、さわいでも、なにもいうな』んん?」
困惑顔のモミジだったがとりあえず無視した。



食堂に入って一番最初に思ったことは、ミカンさんも言っていた通りの
お客さんの顔ぶれが大分違うことだった。
そしてそんな中、ティアナさんはその人達を見るなりこう口にした。
〈やっぱり、フェイトさんにシャーリーさん…あと魔導師の皆さん!!〉
〈え、ってことはティアナさんの…〉
〈静かに〉
〈…〉
そんな私達の会話を聞いて、ティアナさんの知り合いの皆さんの視線が一気にこちらに向いた。
正しくはモミジさんに注がれてるんだろうけど、私にはそんな感じはしなかった。
「かーわいい。フェイトさん見て下さいよ、この子達」
「ちょっと、シャーリー…今はそんなことしてる場合じゃ。ゴメンね」
そう言って金髪のお姉さんはモミジさんに謝りながら、席に戻っていった。
私の隣でブツブツ何か呟いているティアナさんが気になったが
モミジさんはとりあえず食事を摂ることを選んだようだ。
私がモミジさんの後を追って歩き出しても、ティアナさんはその場を動かなかった。
いや、動き出したと思えばモミジさんの後は追おうとはしない。
もしかして、とは思ったけどティアナさんはあの人達と一緒にいたいと思ってる?
〈ティアナさん、あちらに行くんですか?〉
振り返ってはくれたけど答えてはくれなかった。まだ彼女もどこかで迷っているのかも知れない。
そんな中、モミジさんの声が聞こえる。
「シェイク達ー。ごはんだよ」
〈あの、とりあえず食べてから考えませんか?〉
〈…そう…かも、ね〉
違う。迷っているのは、離れたくないと必死に彼女に喰らい付いているのは寧ろ私の方だ。
実感した時、初めて私はどうしようもない気持ちに苛まれる。ティアナさんは人間だ。
だったらこんなのんびりと構えてる暇なんてない。
それなのに私は―――目の前のポケモンフーズにちっとも手をつけないので
モミジさんが心配そうに声をかけてきたが、モミジさんの膝の上に座って
林檎をかじる彼女には何もかもお見通しなんだろうな、と思った。



林檎をかじりながら周囲に気を配る。
フェイトさん達は予想通り、あたしの捜索で疲弊しているらしかった。
それもそうだ、本来ならばロストロギアの回収、封印だけが目的の筈だった。
それが部下一人行方不明、となれば一旦向こうに戻って
態勢を立て直すなりしたいのだろうがそうも行かない。
もう何口目かの林檎をかじってシェイクと目が合う。
ポケモン用のご飯、ポケモンフーズとか言ってたっけ、が全然減ってない。
お腹が減ってないなんてことはないだろうし考えられる原因は思い当たるけれど。
「シェイク、全然食べてないよー?」
〈大丈夫です。これから食べますよ!〉
そんなモミジとシェイクの会話のような物を横目に見ていたら、林檎を落としてしまった。
三秒ルールなんて馬鹿な真似はしないが落とした物は拾うのがマナーだと思い、
モミジの膝から降りる。ちなみに膝の上なんて好きで乗った訳じゃない。
すると林檎はあたしの目には映らなかった。
映らなかった、とは表現が適切じゃない。もうある人によって拾われた後だった。
「落ちた物は食べたらダメだよ?」
林檎を机に置いて、あたしをも抱きかかえてくるのはフェイトさんだった。
「あー!フェイトさん、ずるい!私にも抱っこさせて下さいよ」
そんなやり取りを見て、あたしは彼女達の荷物の中にロストロギアがあるのを確認した。
考えれば簡単だった。あと一つ、という時に行方不明になった部下、
ロストロギアが関わっていると見て動かない執務官じゃない。
「はい、この子。貴女のでしょ」
フェイトさんがモミジにあたしを返すその一瞬がチャンスだった。
もう何もかもが夢中でロストロギア目掛けて突っ込んだ。もうこんな姿は沢山だ。
「あっ!ちょ、ダメ―――」
ポケモンの技なんて知らない。だけど姿が姿なだけに、技を放っていたのは確かなようで
あたしは今まで風通しなんかよくなかった食堂が
気持ちのいい風穴が開いてるのを見て呆然となるしかなかった。
それに、よく見るとモミジ達がいない。いや解ってる、ロストロギアの一つが発動したことぐらい。
「戻っ…た?」
「あれ?ティアナ!いつの間に、てか今までどこに!?」
「話は長くなるんで…次元航行部隊戻ってから。フェイトさんは?」
「ああ、実は色々あってここにいた一般の女の子を安全な場所へ」
成る程。シャーリーさんからそれを聞いてあたしもその場所へ向かった。



一瞬何がなんだか解らなかった。ティアナを受け取る時、技を放っていたことは見えた。
ティアナって技使えたっけ?ズレた考えをしているとさっきの金髪のお姉さんが一緒だった。
近くには食堂のマスターもお姉さんの知り合いの方達によって運ばれていた。
〈きゅー…〉
「大丈夫だよ、シェイク。うん、大丈夫」
放っていた技を思い出そうとする。確か影分身していたのはしっかり見た。
あとはスピードスターとシャドーボール…あと一つが何か判らない。
私が考えてる最中、お姉さんが声をかけてきた。
「ちょっとここで待っててくれる?食堂の様子も見て来なくちゃ」
「え、あ…はい」
返事を返してしまったがちょっと不安だった。
食堂のマスターはどこか遠くを見つめて返って来る気配はないし、
マスターを連れてきた人達もお姉さんと一緒に付いて行ってしまった。
だけど、その不安もほんのちょっとで解消される。
〈きゅ、きゅー〉
「どしたの?シェイク」
そこには別のお姉さんがやってくるのが見えた。食堂にはいなかった人だ。
その人は複雑な顔をしてこちらにやってきた。何から言えばいいのか思案してるみたいな。
〈きゅー、きゅ、きゅー!〉
「シェイク、何?あ、スミマセン、私のポケモンが」
「いや、いいんだけど。無事?怪我とか…ない?」
「この通り、全然平気です。お姉さん食堂にいなかった人、ですよね」
「ん、でもあたしの所為でああなったのは間違いないし」
〈きゅー!!〉
お姉さんはシェイクの頭を撫でながら言った。あたしの所為?それってもしかして。
え、でもそうだとしたら……私はバッグから今は空のボールとついでにポケモン図鑑を出した。
ボール反応なし、当たり前。図鑑反応何もなし、超当たり前。
「何やってんのよ、モミジ。ホラ、シェイク」
差し出されたシェイクを受け取りながら恐る恐る訊く。
「……ティアナ?」
「このボール貰ってっていい?記念に」
〈きゅ、きゅー!〉
「ティアナ、いやティアナ……さん」
すると、目の前のさっきまでイーブイだった人は軽く微笑んでから、
あたしも何か贈れればよかったんだけど、と言いながら
遠くから聞こえる金髪のお姉さんの声に頷いていた。
「それじゃ…頑張れ、ポケモントレーナー」
「あ、あの…」
それっきり。私もシェイクも何も言えないまま見送るだけで。
ただポケモン図鑑が少しだけ反応したのに私は気付かなかった。


あとがき
なんでこんな話になったんだろう、と後悔したことさえあるよwww
とりあえず、ティアナさんが覚えていた最後の技が恩返しだったら個人的にツボw
そろそろ黙った方がよさそうだ、色々と。
[ 2010/03/06] その他SS |