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(゜-゜)

SS書くにあたって雨は重要なファクター。
そんな戯言から始まります、ごきげんよう。
続きからりーくる。次回のSSで由紀さんみーくん出て来るから勘弁な!
原作バレなし。高校編のどこか、梅雨のある日。
【雨と傘と君とあたしと】

例えば。
珍しくこんなに晴れた日には。
色々と考えることもあって。
それでも、話す内容なんてありふれた言葉しか出なくて。
「悠里ってこんなこと起こる前は雨好きだったりした?」
「雨?」
うん、やっぱり。
今日も、話す内容なんてありふれた言葉しか出なくて。
別に悠里が雨を好きか嫌いかなんてあまりどうでもよくて。
ピースが上手く当てはまらない。
2人きりの所為にしてあたしはいつも見ないフリ。
「あたしは割と好きだったけど」
「あら、そうなんだ」
雨も。悠里も。
ただ雨はここで生活する中で嫌いになった。悠里は変わらない。
そう、変わってないから何もあたしは言わないまま。
「最近雨多いよなー、嫌になるぜ」



「胡桃が前に雨好きだった理由は?」
悠里はサラッと言ってのける。
理由なんて決まってる。
でも素直に言うと修復するのも不可能な気がして。
いや、そもそも言わないと解らない。
あたしはどこかで臆病なまま。
「別に理由なんてなぁ…いつも傘差さないで濡れて帰ると気持ちよくてさ」
「あのねぇ」
少し前のことを思い出しながら。
濡れて帰るなんて真似、してた訳じゃないし。
ただ悠里とこんなにも仲良くなった切欠が雨に過ぎない。
「我ながら単純だ」
「何が?」
悠里に視線を向けて、また戻す。
「あたしは単純馬鹿だから風邪なんて引かないってこと」
あの時、雨が降ってなかったら。
きっとあたし達はここまでなんでも言い合える仲なんかになってない。
その点においては雨には感謝している。
そして、あの日傘を持って来てなかったあたしにも褒めてやりたい。
「胡桃?」
「あ、ああ。ちょっと昔を思い出してた」
あの雨の日、紛れもなくあたしは悠里に対して、恋に落ちる音がしたのは確かだ。



「傘忘れたの?もしよかったらだけど、入ってく?」
「え、でも悪いし。家だって同じ方向じゃないんじゃないっけ?」
「生憎と濡れて帰ると解ってる相手目の前にしてほっとける訳ないじゃない?」
既に傘はあたしに入れられている。
もうこうなったら任せるしかない。
「あ、の。ありがと…な。今度何か奢らせてよ」
「そんな、いいわよ。そういうつもりで声かけた訳でもないし」
「あたしが納得しねーよ。それに」
「それに?」
「あ、いや。なんでも」
驚いたんだ。普段は絶対に帰りが一緒になるなんてなかったから。
「珍しいわよね、恵飛須沢さん。雨の日にこんな遅くまで。今の時期部活は休みなのに」
「あはは…ちょっとね。そういうゆ…若狭さんこそ」
「帰ろうとしたら色々と先生に頼まれちゃってね、気が付いたら」
「断わりゃいいのに」
出来たら苦労しない、と彼女は言ってから。
「あ!恵飛須沢さん。ちょっとこっち向いて」
「え、な、何?」
「髪濡れてる。やっぱり折り畳みじゃ限界あるわよね…」
「いーよ、拭かないで。悪いし、ホント」
「でも」
「いいから!!!ああもう馬鹿悠里」
勢いで傘から出てしまった。
それ以前にずっと密かに心の中だけで呼んでいた彼女の名前を呼び捨てにした気がする。
一方、そんなあたしとは裏腹に。
「馬鹿なんて初めて言われたわよ?」
なんて何事もなかったかのように傘を差し出す。
また近くなった2人の距離は、心なしか前よりも縮まったように思えた。
「へっくち」
寒くなって来た。
何気ないくしゃみも見逃してくれないのは知ってる。
「平気?もう、傘から出ちゃうから」
そっとハンカチで拭いてくれる。
恥ずかしいなんて言っていられない。
それにあたしは、悠里の一連の動きに目を奪われていた。
綺麗な泉に石を投げ込んでみたんだ。
出て来たのは石でも金の石でも銀の石でもなくて、綺麗な女神があたしを泉に引っ張り込んで行っただけ。



「あ、家見えて来た。この辺でいいよ!今日はありがと、わかっ……悠里。あたしのことも名前で呼んでいーから、じゃまた明日」
何か言っていたかも知れない。
けれど聞いている余裕はなかった。
あの時、何か言っていたのだろうか。
「挨拶くらい聞いて欲しいものね、全く」
次の日。
教室を覗いてみる。あ、いた。
「はろー。昨日のお礼に来た。何か欲しいのがあったら奢ってあげよう」
「え?わざわざそれだけの為に?」
悠里と話したかった、なんて口が裂けても言えないけど。
「でも欲なさそうだよね、悠里ってさ」
「…胡桃はどうなのよ」
なんだろう。
名前呼ばれただけ。だけなのに心臓が煩い。
「うーん、その豊満なボディはいいなとは思う」
「胡桃の馬鹿」
なぜだろう。
名前呼ばれただけ。それなのに心臓は煩いまま。
悠里の身体に触ろうと伸ばした手を見る。
「柔らかそうだよねー」
「もう、胡桃の馬鹿」
「ゴメンゴメン。ホントなんでも奢ってあげるからさー」
「なんでも?ならあれにしようかしら」
「あれ?」
「買い物、付き合ってね?」
あたしは何を買うのか知らなかった、けど買い物した先で気付くべきだった。

「あたし達が仲良くなったのって雨のお陰だよなー」
「もしかして胡桃が傘忘れて濡れて帰ろうとした日のこと思い出してた?」
「おー流石だね」
「そうでしょ?」
「うんうん」
「それで胡桃。いつになったら告ってくれるのかしら?」
いつの間にか雲が出て来た空と悠里を交互に見ながら返答に時間を要したのは言うまでもない。


あとがき
梅雨のりーくる。
最近りーくるにおいて、陸上部先輩の存在価値がなくなって来ている。
フルネーム出て来てくれればまだなんとかなったのに。
しかしこの2人、実際どうやってあそこまで仲良くなったのか気になる。
[ 2016/07/02] がっこうぐらし!SS |