続きからりーくる。
原作バレなし、高校編。ここまでテンプレになりつつある。
ジャンルはギャグではなくなりました。
まあ、読めばわかる。
【一言でいい、君のことを表す言葉なんて】
始まりは彼女の言葉。
一瞬反応に遅れることは当然。
「ねえ、胡桃。お願いがあるの、ちょっと来て」
「ん?どしたの」
来なかったらどうなっていたのか、そんなこと今となってはもう考えたくもない。
悠里は目の前に来たあたしを何か考えながら。
その行動に移した。
…何をされたのかなんて、頭では理解してる。
してる筈だ。
だけど思考は一旦停止したまま。
「ごめん、なさい」
「え、あ。ううん!大丈夫」
何が大丈夫なのか説明出来る頭はこの時点で持ち合わせてはいない。
それでも、馬鹿みたいに大丈夫と連呼していたのは自己防衛の為でもあるのかも知れない。
あるいは今にも泣きそうな悠里をなんとかしようとしていたのか。
どっちにしろ馬鹿みたいに、じゃない。
今考えてもあれは単なる馬鹿だった。
☆
「ホントは…ずっと黙ってようって思ってたんだけど」
無理だった、と笑う悠里が全然笑えてなくて。
「えっとさ。あー…えと」
何を言えばいい?
ずっと、なんて言ってるんだ。
悠里の想いはそれ相当に深いだろう。
それを知ったあたしがあれだこれだと言っても嘘臭いだけ。
「平気よ、気を遣ってくれなくても。何回も言うけどごめんなさい。もうこんなことしないから」
気なんか遣ってない。
それに怒ってもいない。
大体実際にされた時に嫌でもなんでもなかった。
「なあ、悠里」
「な、何?」
少々声が震えている。
なるべく優しく声をかける。
まるで硝子細工を扱うかのように優しく。
「あたしの方こそ謝らなきゃ。ごめん、気持ち気付かなくて。その、だからって訳じゃないけど何かあったら言ってくれるといいなって」
嘘臭くてもいい。
今は思ってることを言おう。
出した結論は実にあたしらしい。
「胡桃…」
「そんな顔もして欲しくないな、あたしとしては」
☆
何かしたくて手を伸ばした。
けれど、悠里の方が背は高い。頭は撫でられないことに気付く。
別に頭撫でたいとか思ってた訳じゃないけど、伸ばした手はそのまま悠里を引き寄せた。
「止めて、勘違いしちゃう」
「考えたんだけどさ、あたしもしてみれば解ると思うんだよ」
「するって……」
深く考えちゃいなかった。
でも、心の奥底であの感触が味わえると思っていたのは事実だ。
「あ、こんな軽い気持ちでするとかしないとかの問題じゃないって顔してる」
「それは」
「うん、そう見えても仕方ないよ。でも軽い気持ちなんかじゃないから」
そう言っても、悠里は距離を取ろうとする。
あたしは思わず自分の方へ彼女を引っ張る。
「ちょ、ちょっと」
「ごめん。じゃ、抱きしめるだけにするから、な?」
鼓動が五月蝿い。一体、どちらの鼓動なのか。
そんなの解り切ってる。どっちもだ。
あたしの背中に回された悠里の腕が先程よりも強く握り返す。
「ねえ、胡桃」
「うん」
「好きよ」
「ありがと。少し時間頂戴、必ず返事するから」
「ええ、待ってる」
☆
それから。
暇さえあれば悠里のことを考えた。
いい加減じゃいけない。だからと言ってあまり待たせたくもない。
「悠里ってなんでそんないい匂いすんの?」
「ずっと見てたと思ったらそんなこと?」
「そんなことって…いい匂いじゃん。あ、ちょっと嗅がせてね」
「え。今日まだシャワー浴びてないのに」
「そんなの気にしないよ」
「も、もう。最近遠慮しないわね、胡桃」
自分としては普段通りにしてるつもり。
だけど、はたから見ればそれは。
悠里の言う通り、遠慮なんてしていないんだろう。
もうこの頃には答えは出ていた。
言うタイミングが掴めないままで。
いつ言ったものか。
あれからまた数日は過ぎていた。
もう待たせられない。勢いで今日言ってしまう手もあるけど。
「うん、うだうだ悩んでんのはあたしらしくねーよな」
「何?胡桃、悩みでもあるの?」
「へあ!?」
声に出てた。
ま、これで少しは楽になる。そう言い聞かせた。
「胡桃……?」
心配そうに見つめる瞳を見つめ返す。
細かいことは置いておこう。今は伝えることが先決だ。
「あー、と…好き、です」
まともに顔も見れない。恥ずかしすぎる。変な汗も出て来た。
それでも、悠里の方を向いて言葉が出て来るのを待つ。
「え、本当に?あの」
彼女の目から雫が落ちた。釣られてこちらも泣きそうになる。
ハンカチがあるのも忘れて、悠里の目元を指で拭う。
あたしも完全に泣いていた。でも、悪い気はしない。この部屋に静寂が訪れる。
「遅くなってごめん」
「ううん。いいの、全然」
「なんか、さ。もうあたしのことなんか好きでもなんでもないんじゃないかって思った時もあって」
「まさか。嫌いになんかならないわよ」
そう言って悠里は笑う。
あたしが大好きな笑顔だった。
それを見て、あたしも笑う。
ちゃんと笑えているだろうか。
悠里が大好きなあたしの笑顔だったらいい。
「悠里」
「どうしたの?」
「こっち向いて」
「胡桃?」
改めて見た彼女は綺麗だ。
そっと唇に触れる。驚いた顔が目に見えた。
あたしは赤くなった顔を隠しながらも、そっと悠里の手を握った。
あとがき
ギャグにしようとしたけどもたまにはね?
りーくるは基本どんなジャンルでも合うような気がする。
まあ、こればっかりは書き手の得意分野出て来ますよね。
りーくる以外の名前出さないのも私の悪い癖の1つではある。