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さて。

続きからゆきくるif。
巡々丘じゃない平和な世界線。
二次元における幼馴染っていいと思うんですよ。
このSSの元ネタイラストはこちら。
【いつの間にか隣にいるのが】

退屈な授業は聞いてるフリをしてることが多い。
欠伸を飲み込みながら傍らに置いたシャベルの方向を正す。
前に壁に立てかけておいたシャベルが床に落ちて凄い音を出したことがある。
あの時は授業終わるまでシャベル没収されたっけ。
おかげであたしは一部生徒からそのまんまシャベルなどとあだ名が定着しているらしい。
……名前を呼ばれたような気配がして顔を上げる。
そこには見慣れた顔があたしを覗き込んでいた。
「くるみちゃん、やっと起きた」
「は?今何時」
「HR終わった」
「え、起こせよ。授業終わった時に」
「私はくるみちゃんのママじゃないんですー」
「うっせ。ノート貸して」
「それじゃ、シャベルくん貸してね」
丈槍由紀。
こいつとは小さい頃からの幼馴染だ。
シャベルに振り回される由紀にも、ノートに何が書いてあるのか解読するのも、最早日常茶飯事だ。



「もうそろそろシャベル返せよ、お前が持ってると窓ガラス割りそう」
「くるみちゃんひどい。大事なシャベルくんに傷はつけないよ!」
「別に傷はいいけどさ、窓」
「割らないってばー。それより、ノート写した?」
「まだ。何書いてあるか解らんって」
またひどいと言われた。
事実だから仕方がない。あたしは解読作業に戻る。
「私が書いてあげよっか?」
「いい。暇なら帰れ」
「くるみちゃんのいけずぅ。一緒に帰りたいんだよー」
「はいはい、待ってろ」
教室には誰もいない。
思えば起こされてからずっと静かだった。
由紀のことだ、誰もいなくなるくらいまであたしのことも起こさなかっただけに過ぎないんだろう。
あと、1行。
ようやっと解読も終わる頃まで来る。
何より大変だったのは、他でもない途中途中にあるしょうもないらくがきだった。
面白くもないそれを視界に入れてしまう。
だからなのか、由紀のノートにもらくがきをしておいたのは。



「くるみちゃん、帰ろ帰ろ!」
「元気だな、お前は」
廊下を2人して歩く。後ろから誰かの走る音と声が聞こえた。
「あ、シャベル先輩さよならー!ゆきちゃん先輩もバイバーイ」
「またねー」
呑気に後輩に挨拶を返している由紀を尻目にあたしは少し複雑だ。
「シャベルってどこまで浸透してんだろな」
「気にしなくていいと思うよ?今はシャベル=くるみちゃんくらいには皆知ってるし」
「酷くなってるじゃねーかよ」
「まあまあ。シャベル持ち歩くの止めたら止めたでどうしたの?ってなるよ?」
「あー、そうですねー。てか、前から思ってたけどお前後輩から先輩扱いされてないだろ」
「失礼な。逆に親しみやすいようにしてるだけだよ!ほんとだから!」
うん、嘘だ。
昇降口で靴に履き替えて、グラウンドに出る。
遠くからシャベルさんがどうとか聞こえた気がしたが、無視した。
「さて、ちゃっちゃと帰るか」
「あ、待って。くるみちゃん、どっか寄り道してこーよ」
「えー。早く帰りたいんだけど」
「私よりもシャベルくんを取るんだ、くるみちゃん」
「何意味解んないこと言ってんだよ」
「それじゃ、決まりね!どこ行こうかなー」
「いつものとこでいいだろ、初めてのお店とかって色々面倒なんだから」
「シャベルくんの説明」
「解ってるならどこ行こうとか言うなよ」
「だってシャベルくん初期装備だって言えば納得、」
「すんのはノリがいいゲーセンだけだ」
「最終装備は何になるんだっけ?勇者の剣とか言ってた?」
「バスタードソードとかでもかっこいいだろうなー」
「くるみちゃん、そっちの話題になるとイキイキするよね。水浴びたお魚さんみたいにー」
「やめろ、そんな例え」
由紀がにへへと笑う。
無性に腹が立つ笑いだ。チョップでもしてやろうかと思うが後々面倒だから止めておいた。
「でも、実際さ。くるみちゃんって休日とかどうしてるんだっけ?やっぱりシャベルくん持参してるの?」
「余程のことじゃない限り持ってるけど」
「もうさ、恵飛須沢・シャベル・胡桃って名前に改名した方がいいんじゃない?」
「何?その名前」
「シャベルくんと結婚しなよ。お嫁さんでしょ?くるみちゃんの将来の夢」
将来の夢なぞ、こいつに話したのがまず間違いなのだが。それ以前に。
「あたし、普通に人間と結婚したいんだけど」
「相手がいなかったら私が貰ってあげるよ」
なんて。
本気なのか冗談なのかよく解らない発言をしてくれる。
「ま、考えとく」
「うんうん。あ、お店見えてきた!」
「すっかりあの店も常連だよなー。店長、店員全員に顔覚えられてるし」
「くるみちゃんの影響が大きいと思う」
「そりゃそーだけどさ」
お店に入ると、いらっしゃいと言った店員が一言。
「今度シャベル置き場作ろうかって話出てるんだけど」
そんなもの作らなくていい。




暫く由紀と遊んだ。
その時にこんなことを言ってきた。
「くるみちゃんさー。進路どーするの?進学なら私と同じとこ行こうよ」
「え?大学でもお前と同じなの?あたし」
「だってくるみちゃんの頭じゃ」
「おい、てめえな…」
とりあえず、やっていたゲームで由紀をボコってやる。
「あー!!手加減してよ、くるみちゃん」
なんて。全然残念そうに見えない言葉で由紀は言う。
全く、見てて飽きないやつだ。
「進路ねえ、考えたくねーけど考えなくちゃなあ。ちなみに由紀はどこ受けるつもりだよ」
「私がゲームで勝ったら教えてあげるー。ついでにいいことも教えてあげる」
いいこと?
「お前、まさか変なことしてんじゃないだろーな」
「なーんーでーそーなるのー。もういいよ、教えない」
「わりーわりー。教えてって」
「………………先生達がね、使い始めてるの聞いたの」
「何を?」
「シャベルっていうあだ名」
何考えてんの、うちの教師。
溜め息を吐いて続きを促そうとしたけれど。
「あたし、マジで手加減しないから勝つの無理じゃね?」
「くるみちゃんの意地悪。まあ、いいや。受けるとしたらここになると思う」
「ああ、由紀の頭でも充分入れるとこだなー」
「くるみちゃんの頭でもね!」
そんなあたし達はずっとこの先もこんな調子なんだろう。
「由紀、今日ウチ来る?」
「いくいくー」
うん。あたし達は何も変わらない。きっと、何があったとしても。


あとがき
ゆきくるはこの距離感が好きです、ごきげんよう。
出してないだけで、若狭さんも直樹もいるんですよ。
うーん、佐倉先生くらい出すべきだったか。
でもなんとなく2人だけで話進めたかった。
[ 2016/09/09] がっこうぐらし!SS |