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ごーるでん。

続きから学園生活部SS。長いのでお暇な時に。
勢いのままダァーと書いて、少し修正しただけなんで
あれ?と思うところもあるかも知れない。こまけぇこたぁいいんだよ!
時系列一応みーくん加入後の恵飛須沢噛まれ前のどこか。だからこまけぇこたぁ(ry
【こういうのは突っ込んだら負けって決まってるんだ】

頭はすっかり冴えてしまった。
何をするでもなく起き上がってみる。
自分だけが起きているとなると何かやりたくもなっていけない。
布団を被って横になる。目を閉じれば夢の中へ行けるだろう。いつも見てる悪夢でもいい。
少しでも体力を回復出来るなら悪夢でもなんでも見てやるってもんだ。
やがて意識は途切れていく。
夢、だろうか。
目の前で由紀が転んだ。
仕方がないと手を差し伸べようとしたら、急に視界が悪くなった。
気が付くと由紀はもう悠里や美紀の方へと向かっていて。
あたしもそちらに行こうとしたけれど。
夢の中のあたしは微動だにしなかった。
どうして、なんで?
解ってる。いつもの悪夢だ。そんなの、理解してた筈なのに。
夢なんて。
悪夢なんて。いつ見るかすら解らないから辛いんだ。



「あれ?くるみちゃんまだ起きてないの??」
「そうですよ、てか…先輩はさっきまで寝室にいたから知ってるでしょう」
「そうだけど~、すぐ起きて来るかなって」
「由紀ちゃん、起こしに行ってくれる?」
「はーい!仕方ないなぁ、くるみちゃんは」
「どう思います?」
「胡桃?」
「いつも私が起きる前には起きてますし、体調でも悪いんでしょうか」
「考えたくはないけど、その可能性もあるのよね」
「…」
「大丈夫よ、胡桃だもの」
「それ、アレは風邪引かないって言ってるようなものですよ、りーさん」
「言ってないわよ」
「そう、ならいいですけど」
「さて。朝ご飯の用意しておきましょ。もうすぐ由紀ちゃん達も帰って来るわ」
「ですね」
「由紀ちゃんは匂いで部室に先に顔出しそうだけど」
「いや、それは流石に…えっと」
「私、美紀さんのそういうところ好きよ?」



目が覚めた時、やけに静かだった。
誰もいない?嘘だ、由紀くらいはいると思ってたのに。
軽くショックを受けながらも起き上がろうとして軽く違和感を覚える。なんだろう。
別に身体がだるいだとかじゃなくてこう根本的に違う。思わず自分自身を見て。
一拍置いた。
叫びそうになった。いや、叫んでいたかも知れない、心の中で思いっきり。
その時、ここに来る足音。あの音は由紀だろう。
「…」
考えてても仕方ない。あたしは布団を頭まですっぽりと被る。どうせならこのまま寝たい。
「くるみちゃーん、朝だよー!」
ここで今更ながらに馬鹿なことに気付く。寝たふりしてもなんの解決にもならない。それどころか。
「(ヤバイ)」
「コラ!くるみちゃん、起きろー!」
あたしの布団を引っぺがした。もう後悔しても遅い、仕方ない。とりあえず由紀の口を塞がなければ。
「ちょっと黙れ」
あたしは由紀の口をすかさず手で押さえて、落ち着かせる。大丈夫じゃない、落ち着いてないのは他ならぬ自分なのだ。
「んーんー!」
「静かにしてるか?」
「コクコク」
手を離す。咄嗟とはいえ悪いことをした。
「なあ」
「な、何…え、何?」
「わりーわりー。あー………………2人呼んできてくれ」
「あ、え?」
「呼んできてくれ、頼むから」
「…」
頭が混乱している。どうあってもまともに判断が出来そうになかった。
それは由紀も同じだろう。何回も振り向いては不安そうに部屋を出て行く。
どうして?なんてこっちが聞きたい。
聞いたところで答えが返って来る訳でもない。
もう頭を抱えるしかないのだ。
1人になって、改めて自分を見る。見たくもなかったが、しっかりとした現実はどうしようもないらしい。
「どうしたもんかなー」
言って廊下から声が聞こえた。
多分由紀のことだ、訳も解らないまま2人に助けを求めたんだろう。
それでいいんだ。
あたしにだって解る訳ない。
「あの、由紀先輩」
「胡桃がどうかしたの?」
「えっとね、2人を呼んでくれって」
「由紀ちゃん??」
「とりあえず入りましょう、りーさん」
「え、ええ」
扉の開く音がした。
あたしがやって来た3人を見ると、それこそ反応が三者三様で面白い。
いや、面白がっている場合じゃねー。
「2人呼んで来た、よー…」
「もうなんなんだよ、さっきから。いや、その前に整理しよう、色々」
突っ立ったままの3人を座るように促した。



座るようにと思ったそれは、誰も聞いてはくれなかった。否、そこから動けないと言った方が正しいのか。
当然だ。あたしがこんな状態なんだ。困惑しても無理はない、寧ろしてくれないと人間性を疑う。
「あの胡桃先輩?それ、は」
「とりあえず座ってくれ。あ、朝ご飯食べたあとにでも話せって言うんならそうするけど」
「私お腹空いたよー」
その声とともにお腹も鳴らす。少し心が軽くなった。同時にあたしのお腹もなってしまった。
「……」
「ご飯にしましょうか?」
少し恥ずかしい。変に意識しないように部室に向かおうと立ったところで。
「あれ?」
「どうしたの?くるみちゃん」
「なあ、由紀。ちょっとこっち来て」
「??」
訳が解らないと顔に書いてある由紀を手招きで傍まで来させた。やっぱりだ。
「さっきより縮んでる」
「え?」
間違いなかった。由紀の口を塞いだ時は、それでも由紀と同じくらいか少し小さいくらいまではあった筈。なのに今は。
「なんであたしは由紀を見上げてるんだよ」
これこそ悪夢だ。



どんどん身体が小さくなっている?そんな馬鹿な。
馬鹿な話ある筈ない。着ていたジャージがサイズに合わずに地面に落ちた。落ちると同時、下の方も落ちた。暫く固まった。
「くるみちゃん、アポトキシン飲んじゃったの?」
「ボケなくていいから」
「残念ですが先輩。子供用の下着まではないですよ、流石に」
言われなくても解ってる。解りたくなかったけど。とにかく今はお腹に何か入れたい。
ジャージを拾って、落ちた下の方もとりあえず拾って、床に置いたシャベルを持とうとした。
「…重い」
「持ちますよ、先輩」
「え!?い、いいって。これくらい、これ、くら…い」
「はいはい。胡桃ーいい子ねー」
「ちょ、ゆうりーーー」
「美紀さん、シャベルお願い。由紀ちゃんはジャージ持ってあげて」
「はーい」
「了解です」
あたしは悠里に抱っこされたまま寝室をあとにすることになった。抱っこされてる間はもう色々と忘れたい気持ちで一杯だった。
部室に着く。もう既に朝ご飯の用意は殆どしてあった。確か悠里が昨日、今日は缶詰にするとか言っていた気がする。
「悠里さん、そろそろ下ろしてくれませんかね?」
「それは構わないけど…ねえ?胡桃」
「何?」
「小さくなった身体でパイプ椅子平気かしら?」
「なんでくるみちゃんちっちゃくなったんだろうね?やっぱりアポトキシン?」
「由紀は黙ってて」
そもそも原因さえ解らない。いや、たとえ解ったとしてもどうすればいいのか。
「上履きも最早機能してませんよね。何かあればいいんですけど…あったとしてもスリッパくらいしか」
「そうなのよね…よっと。あ、胡桃可愛い」
「う、五月蝿いよ。もう!」
「くるみちゃん机届く?」
届かねーよ、チクショウ。あたしは無言でチラと睨む。それが肯定だと言わんばかりに。
ただし、そんな行為もこの身体じゃ愛でる対象にしかならないらしい。
「ダメだわ。胡桃の手前、言っちゃいけないんだろうけどホント可愛くて」
「解ります、りーさん」
「ねー、可愛いよねー」
悠里に至ってはあたしの身体をあちこち触ろうとしている。やめてくれ。大体アンタさっき可愛いって言ってただろうに。
「こうなった元凶みたいなのをですね、朝食べたら考えようと思ってたんですけどね?」
「今日1日くらいサボってもいいかなって気になっちゃうのよね…ハイ、胡桃。あーん」
「りーさんずるい~私もくるみちゃんにあーんしたいー」
「1人で食えるって言っただろ!ちょ、もう勘弁してよ」
あたしの願いは脆くも崩れ去る。さっさと戻りたいのに。こいつらに任せて大丈夫なのだろうか?



もう疲れた。こんなに朝ご飯を食べるだけで気力がゴッソリ持っていかれるとは正直、昨日の段階で思ってもいなかった。
そもそもだ。なんでこうなった?1人溜め息を吐きながら考える。でも考えれば考えるほど思考の沼に堕ちていく。
ただの沼じゃない、底なし沼だ。埒があかない。
「胡桃先輩、シャベル借りますね」
「え?」
「あー!いいなぁ。私もシャベルくん借りたい」
「由紀先輩は胡桃先輩と一緒に遊んでて下さい」
「待て待て待て。遊ぶってなんだよ、遊ぶって!大体シャベルだってどうす…あ、」
「そうです、いつも胡桃先輩がしてることですよ」
それを聞いた瞬間、あたしの身体は勝手に動いていた。ダメだ、見回りなんてあたしがやるだけで充分だ。
そう思ったから。美紀の方へと行ったつもりだった。行ったのは心だけで身体はついていけてなかった。
「うおっ…!?」
盛大な音とともに意識が一瞬飛ぶ。
「胡桃先輩!」
「大丈夫?くるみちゃん」
「胡桃、ちょっと見せて」
自分がさっきどうなったのかよく解らない。全身が鈍く痛いのだけは微かに解る。
「やっぱり色々無理ですよ、これ。着るものだって今体操着の上だけですし」
「そう、ね。胡桃、顔痛くないかしら?」
「解んない。全身痛くて」
「あ!くるみちゃんおでこ赤いよ?痣になっちゃう」
自分と一緒にコケたパイプ椅子は美紀によって元に戻っていた。でもそうだ、こんなんじゃ。
こんなんじゃ、ただの足手まといだ。
だったらどうしたらいい?大人しくしてるだけ?そんなん無理だ。じゃ、どうする。
元に戻りたくても原因も解らない。冷静に考えて急に怖くなった。
「なあ、悠里」
「どうしたの、胡桃。どこか痛い?」
「えっと…ちょっとだけだから」
言うなり目線を合わせてくれていた悠里に抱きつく。優しい匂いがする。悠里の香りだ。
「いいなー。りーさん」
「私達はあとでぎゅーってして貰えばいいんですよ。それじゃ、私は少し席を外しますね」
「どこ行くの?みーくん」
「……シャベルくんとデートに」



気持ちよかった。それが頭を撫でられていることだと理解出来るのに然程時間はかからなかった。
ちょっとだけ、と思っていたのに結構悠里に抱きついているのではないだろうか。いい加減離れよう。
「あ、ありがと。悠里…あれ?美紀は??」
「シャベルくんとデート!ねえ、くるみちゃん。今度は私にぎゅーってしてー」
「デート、って…あの馬鹿」
連れ戻したかった。そんなこと出来はしないと解っていてもこの状況が悔しくて仕方がない。
「胡桃、解ってると思うけど」
「ああ。でも万が一のことがあったらあたしは、」
「みーくんを信じようよ!シャベルくんとデートだよ?変なことはしないって。ホラ、ぎゅーっ」
「お、おい…やめれ。由紀」
「やめなーい。くるみちゃんかわいー」
「悠里ー。見てないで助けてよ」
「うふふ、どうしようかしら」
身動きが取れない中で、あたしは美紀のことを考える。賢いやつだ。由紀の言う通り、変なことはしないだろう。
それでも。
時々無茶な真似をする。その癖が出てなければいいけど。
「そろそろ離せよ」
「えー!やだー。そういえばくるみちゃん、さっきからちっちゃくなってないよね?」
「は?」
「そうね。朝見た時から少しづつ小さくなって行ってたけれど」
「そうなの?てか、どのくらいで止まった?小さくなってるのは解るんだけど、止まったタイミング?は自分じゃ感覚がイマイチで」
「コナンくんくらいかなぁ?」
「なあ、名前出して平気なの?アポトキシンもだけどさ」
「じゃ、隠そうか?えっとー…」
「いいよ、もう。それよりこれからどうするかだよ」
嫌だ、聞きたくない。聞いて何も解決しなかったらもうあたしはどうしようもなくなる。
「まずは美紀さんが帰ってからね。そういうことは」
「みーくんシャベルくんと楽しんでるのかなー」
「そりゃどーだかな」
「くるみちゃんヤキモチ?」
「ハイハイ、ヤキモチでいいから。あと悠里。さり気なく触ってくるのやめて」
「だって胡桃が可愛いんだもの」
「りーさん、くるみちゃん抱っこする?」
「したいけど…順番的に今度は美紀さんの番だし、ね?」
ね?じゃねー。あたしはじたばたと抗議する。それも2人のハートを撃ち抜いただけに過ぎなかった。
「うー…早く帰って来ないかな、美紀のやつ」
「くるみちゃんはみんなのだから安心して」
「誰がそんな心配してると言った」
「胡桃。美紀さんが帰るまで髪の毛やってあげるわ。随分くちゃくちゃになっちゃったし」
「それは…助かるけど他のところ触るなよ?」
「くるみちゃん、それ触っていいっていうフラグだよ?」
「…」
無言で由紀の膝を叩く。いたいいたいと言いつつ顔は笑っている。ムカついたので叩くのをやめない。
その時、扉が開く音を聞いた。



「ただいまです…あれ?何やってんですか、ずるい」
「美紀お前…いや、もう見回りの件は許すからちょっと力貸して」
「別に構いませんが、りーさんはどうしたんです?そわそわして落ち着きませんけど」
「美紀さんが帰って来ちゃったから、胡桃の髪の毛弄れないのよ」
なんて言いつつ、弄り倒す気満々なんだよなぁ、この人。少し、いやかなり恐怖し美紀に寄った。
寄った分だけ詰められた。もうこれは諦めた方がいいかも知れない。
「美紀も来たし、真面目な話をそろそろしたいんだけど」
「あ、わざわざ待って貰ってたんですね。すみませんでした、今お礼に頭撫でてあげますね」
「いらねーよ。なんだよ、お前まで可笑しくなるんじゃねーよ」
「くるみちゃん。1番面白くなってるの、くるみちゃんだからね?」
くそぅ、何も言えない。悠里に髪を弄られながら溜め息すら出なかった。そして、美紀はと言えば。
「撫でるのかよ、結局」
「いいじゃないですか。今の胡桃先輩可愛いですよ」
「言ってろ」
美紀が撫でる手と悠里が髪を梳く手がぶつかったらしい。2人して謝っている。
「ねえ、りーさん。どんな髪型にするの?」
「いつもの。凝った髪型にもしたいけど、いい加減胡桃に怒鳴られちゃう」
「怒鳴りはしないけどさ」
「でも怒るでしょう?」
「まあな」
言って悠里はあたしの髪を綺麗なツインテに仕上げる。その間、美紀はずっと頭を撫でていた。
「文句言われるかと思ってました」
「言ったところでやめんの?やめねーなら別にいいよ。それよりさ、さっき言ったことだけど」
「力貸して欲しい、でしたっけ?」
「くるみちゃーん!私も力貸すよ??是非!」
「いいよ」
「胡桃、私は?」
「悠里は髪やってくれただろ」
それを言うならみーくんだってさっきシャベルくんとデートしてたよ?と由紀が五月蝿い。
溜め息を吐きたい顔を作ってると、美紀が口を開く。
「それで胡桃先輩。私はどうすれば…」
「ん、ああ。ちょっとこっち来て」
「はあ」
「(あのさ、トイレ行きてーんだよ)」
「あ!トイレですか」
「バッ、声に出すなよ」
「おトイレ?私も行くー」
「それじゃ、私もご一緒しようかしら♪」
「こうなるのが嫌だから耳打ちしたのに」



現在、場所は女子トイレ前の廊下である。
一緒に行く行かないなどと色々あったが、1回スイッチが入った由紀と悠里に敵う筈なんてないんだ。
「でもみーくん、今のくるみちゃん見て“先輩”って思う?」
「少なくとも由紀先輩より見えますよ」
「えー!!みーくんひどーい、私そんなに…あ!解った」
「なんですか」
「可愛さだったらくるみちゃんに負けちゃうってことでしょ?うん、解った解った」
「は?何言ってんの、お前」
そして頭を撫でるな、全く。
それにしても。身体が小さいことに段々と慣れて来ている自分がいる。そんな筈ないのに。
「こら、あんまり騒がないの」
「あ、りーさんおかえりなさーい」
「ゴメンね、胡桃。お先に失礼しちゃって」
「そんなんいいよ。ただ」
あたしは1人で手を洗えない。
だから一緒に来た美紀にトイレを済ませたあとは手伝って貰うつもりだった。当初は。
ここに来る前に誰が手伝うのか決まってる筈なのに。
あたしは取って来て貰ったスリッパをペタペタと音をさせながら、トイレを済ませる。
どうかもう決まってますように。
「あ、くるみちゃんおっそーい!」
「うっせーよ!こっちは大変なんだよ」
「おかえり、胡桃」
「んー。で?決まってんだよな、いや冷静に考えて次入るやつが手伝うのでいいと思うんだけど。なあ?悠里」
「それは嫌よ。ってここに来る時に言ったけれど…言ったのに!」
「言ったのになんだよ?結局次入るやつなの?」
「その通りだよ、くるみちゃん。覚悟するのだ」
「え?何、由紀なの…え?」
「何、その態度ー」
「え、だってお前…え?美紀なんでだよ」
「なんでって私に振らないで下さいって。私がいいならいいって言えばいいじゃないですか」
「この2人相手に言えると思うの、お前」
なんて声と共にあたしは由紀とトイレに入って行った。まあいい、あたしは手を洗えればそれで。
「くるみちゃん、頑張れば届くんじゃないの?」
入った先で由紀に声をかけられる。とてもじゃないが届くものではない。
「下手に頑張って怪我したくねーじゃん」
「そ、そうだね。ごめん」
「なんだよ、素直だな。逆に何か企んでそうで怖いんだけど」
「ひどい!私だって色々考えてるんだよ?」
「ふーん?例えば」
由紀があたしの身体を少し持ち上げる。少し擽ったい。使い物にならなくなった鏡をなんとなく見て、由紀の姿を捉える。
その顔はいつも見せるのとはだいぶ違う。初めて見る顔の筈なのに、どこか懐かしかった。
「くるみちゃん…もしさ、ううん。なんでもない」
「なんだよ、言えよ」
「……くるみちゃん…ありがと。でも今は早く手を洗って…この体勢辛い」
「あ、あーそだな」
そもそもの話。トイレで話し込むようなことではないかも知れない。あたしはさっさと手を洗う。
チラッと盗み見た鏡からは先程の顔が写っていた。
「しゅーりょー!えらいねー、くるみちゃん」
「なあ」
「何?もう出ていいよ。あー、腕疲れた」
「……あっそ。ま、いいわ」
「くるみちゃん、絶対なおすから」
「…んだよ、絶対とか言わねー方がいいぞ」
「今のくるみちゃんもかわいくて好きだけど、くるみちゃんはくるみちゃんなんだもん」
後ろから抱きしめられる。嫌じゃないけど息が苦しくなって来た。それに。
「くるみちゃんくるみちゃんって連呼しすぎ」
「…うん」
「なんだよ、もう。主人公みたいなこと言いやがって」
あたしはそう言い残してトイレを出た。
出た先で悠里と美紀にプニられる。美紀はともかく、悠里は顔がもう恐怖だった。
「ところで胡桃先輩、何か由紀先輩と話しました?」
「別に。絶対元に戻るぞー的なやつ」
「絶対、ね。戻らないとね?胡桃」
「そうだな」
「みーくん!次どうぞー」
「え、あ。はい」
変なところでタイミングが悪いやつだ。



「胡桃、小さくなる前に変わったところなんかはないかしら?」
「なる前?」
「ええ。もう原因探そうにもあまりにも手がかりが少なすぎじゃない?」
そう、少ないのだ。戻って来た部室で考え込む。何も思い当たることもないから八方塞がり…あ。
「夢見た」
「夢、ですか?」
「そー。どんなんだったかな?由紀がコケてたのは覚えてんだけど」
「えー、何その夢」
夢なんかが左右するとは思えないけど。他に何もないし、なんだか眠くもなって来たし。
あたしは1つ欠伸をして、ついでに伸びをする。眠気は飛んでくれそうになかった。
「胡桃先輩眠いですか?」
「眠いぞー。美紀の膝は寝心地よさそー」
「ちょ、寝るんなら隣行って下さいよ」
「大丈夫だって、ガチで寝る気ないから。つー訳で膝借りるな」
「みーくん…」
「美紀さん…」
「「ずるい!」」
五月蝿い。起き上がるとまた2人が五月蝿いだろうし、美紀には悪いけど膝の中で寝よう。
ガチで寝ない。そうは思っても睡魔に勝てるかと言ったら話は別なのかも知れない。あたしの意識はそれから数分と持たずに途切れている。
「胡桃、寝ちゃってるわよ」
「え?」
「寝顔かわいい!ね、みーくん」
「あ、はい。というか…これでよく寝られますよね」
「ねー。名付けてくるみちゃんだいしゅきホールド」
「主にホールドしてるのは由紀ちゃんじゃない?」
「もう、りーさんったら!くるみちゃんのこと好きじゃないの?」
「それは好きよ?当たり前でしょ。ねえ、美紀さん」
「ま、嫌いだったらこんなことしませんし」
「みーくんは素直じゃないなぁ」
「別にそんなことっ、あ」
少し夢を見た。
あたしは逃げている。誰かからなんて考えている余裕はなくて、それでも足は動いていて。
必死に皆を探していた。どこにもいないなんて可笑しいのに、きっといないもんだと解っている。
また、悪夢なんだ。結局寝ちゃったのか、と思いながら少しここにいない皆のことを思う。
悠里はなんだかんだ優しい。こんなところに似合わない程。だからこんな夢なんかに出て来ない。
美紀にはシャベルを持たせたくなかった。何も言って来ないから逆に怖いんだ。
由紀…由紀は。あいつが言うと不思議と本当になる気がする。気がするだけかも知れないけどそれだけで救いだ。
ー胡桃、ちょっと菜園の様子見るの手伝ってくれる?今日はシャベルはお休みにしてスコップね!
ーあ、2人とも私まだ胡桃先輩のこと愛でてないんですけど!!え?いいじゃないですか。
ーめぐねえ、今日ね?くるみちゃんが大変だから授業は…え、違うよ、ほんとだってば!
うん。思い返してみれば短時間で色々あった。ありすぎて笑える程だ。さあ、早く起きよう。ここにいたって仕方ない。
目覚めてすぐに思ったこと。近い。顔が、近い。



「近いな」
こちらをずっと見ている視線は悠里と目の前にある美紀、あたしの身体に巻き付いてるのは由紀か。
次の言葉を発せないでいると、美紀が口を開いた。
「あのですね、急に先輩が私の手を掴んだんですよ」
「え、あ、そう」
「そしたらぐいっていきなりなのよね。美紀さんも困惑してるからそろそろ離れて?」
「いや、そんな少しビックリはしてますけど…でも喋りにくいので離れて下さい」
何故かこのまま離すには勿体ない気がして、美紀を思いっきりぎゅーっとしてやる。
「何声にならない声上げてんだよ、特に悠里。それと疑問なんだが」
起きた時から感じていたそれ。いつもと同じくらいの目線なのだ。
と、そこへ後ろから声がかかる。今まで沈黙してた由紀だ。
「くるみちゃん、なんか…身体が大きくなってる」
「…そう思うか?」
違和感があったのは伊達じゃなかったらしい。試しに立ってみたら由紀の身長に近付きつつあった。
「胡桃」
「うん?」
「ちょっといい?」
言うなり悠里に抱きしめられる。何を思ってしているのか解らず、少しパニックになる。
「りーさん?胡桃先輩混乱してますけど」
「あ。ごめんね、でも今の可愛い胡桃でいられるのもあと少しなのかなって思ったらつい」
「ついですか」
「ま、いいけどさー。なんだろ。この感覚…あたしホントに戻ってるのかな」
「今も戻ってるわよ。こう、感触が伝わるというか」
聞かなかったことにして、美紀にも聞いて見た。
「美紀もそう思うの?」
「言われてみれば先程とは若干大きくなったかなとは思いますが、はっきりとは断言出来ませんよ」
それでもいい。戻ってるんなら早く戻りたい。元に戻ってる原因?知るか。
「あ"」
「どうしたの?くるみちゃん」
今のあたし自身の格好を思い出してしまった。原因どうこうの前にこっちをどうにかしなければいけなかった。
そこまで考えてあたしは隣の部屋に一目散だった。そこに全部置いてあったから。
隣に着いて、ジャージなどが置かれている場所へと急ぐ。なんにせよ、早く着替えよう。あまり考えたくないが、もう元に戻っている可能性もあるんだ。
「胡桃!1人で動かないで」
「こらー!くるみちゃん」
「いきなり飛び出さないで下さいよ、胡桃先輩」
3人の姿を見つけ、声をかけようとした瞬間だった。一瞬、酷い全身の痛みが走った。
何か目の前にいた3人が言葉をかけてくれたかも知れないが、よく解らない。よく解らないうちにあたしはまた目を開ける。



どうしたっけ。
そうだ、いきなり痛くなって、それから。
ボッーとした頭をシャキッとさせる。シャキッとさせたはいいが、気付いちゃいけないことまで気付いてしまったみたいだ。
そう、完全に元に戻ってしまった。いや、喜ぶべきなんだが。
「お前ら、見、見、見た、よな?」
「うんー、ごめんね。出た方がいい?」
あたしは何も言えずに近くにあった自分の下着と体操着、ジャージを手に取る。なんかどっと疲れた。
静かに出て行った3人を目で追う。なんだろう、すっぽりと心に虚無感が残って目から雫が落ちた。
思いっきり泣いてしまおうか。なんて出来もしないことを考えながら、着替えを済ませて部屋をあとにする。
「朝っぱらから今まで迷惑かけてゴメン…サンキューな!感謝してる」
その言葉にらしくないなんて笑われたけど、それが却って嬉しかった。
尚、ちっちゃくなった原因は未だに不明である。



あとがき
とある日の学園生活部。
途中まで恵飛須沢男体化か、ftnrか、お姉さん化かロリ化で悩んでた。
男体化は別ジャンルで長編連載やってたので却下、ftnrは書くより見る方が好き、お姉さんは大学編あるから却下。
最終的にロリが残った、後悔はしていない。
[ 2017/05/05] がっこうぐらし!SS |