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ぴくしぶ





7月

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いつの間にこんな時間たってる、恐ろしい。
続きから由紀さんが全く出ないようなSS。
あ、そんな目で見ないで。
オフでゴタゴタあったから仕方ないんだ。
【無理矢理にでも君の矢印を】

いつまでも何も言わないつもりなんてなかった。
そう思ってたら、口が勝手に動いた。
「好き、なんだけど」
「どうしたのよ、急に」
「うん。なんでかな、ちょっとね」
「そう?でもそういうのは今言うのとは違うと思う」
解ってる。言うタイミングが今じゃないことぐらい。それでも止まらなかったんだ、仕方ないだろ。
「告るのなんて人それぞれだと思うなぁ」
「そうだけど…本人いない前では言わないわよ」
「そりゃ当たり前、え?」
「ん?」
この人なんて言った?本人??目の前にいるじゃん。な、何言って、落ち着こう。うん。
「あの、悠ーー」
「だから、胡桃は美紀さんが好きなのよね?」
なんで悠里の中でそうなってるんだよ。



「ははっ、そうそう。どう言えば1番伝わるかなーってさ。悠里ならこういうの得意そうじゃん」
「もう、人を恋愛経験豊富みたいに」
なんで。
「違うの?」
「あのねえ」
どうして。
「てか、さっきのはどうよ?ストレートでいいと思うんだけど」
「どこが好きなの?って聞かれたらすぐに答えられるんならいいわよ」
そういうとこも含めて全部だよ。
こんなにあからさまに態度に出してるのに気付かない。違う、気付いてるのかも知れないけど。
「あたしさ、」
「何?」
「…やっぱいい。忘れて」
「もう、何よ。気になるじゃない」
あまり悠里の顔を見ていたくなかったけれど、そうもいかない。何かを考える前に手は頬を触る。
「何か言わないの?」
「どうして?」
そのまま引き寄せればあたしは。
それをしなかったのは悪気がない悠里のここで美紀さんが帰って来たら怖いわねの一言だった。



「な、何も怖くねーって。それにあいつ、さっき由紀の様子見に行ったばっかじゃん」
「そうね。胡桃、もしもの話だけど」
「え?」
「美紀さ、いえ。貴女の好きな人がどうにかなったら胡桃、どうする?」
「なんだよ、それ。縁起でもねー」
「例え話よ。気にしないで」
「気にするよ。悠里、何が言いたいの」
「いいわね、胡桃は。ううん、いつまでも悲劇のヒロインぶってる私も私なんだけど」
悠里?口に出そうとした言葉は出せずにいた。
何を言おうとしてたのかも頭から抜けた。
一瞬だったのに永遠に感じて、時間はいつものように動いてる筈なのに、止まっている感覚。
「な、んで」
「なんで、ってそうね…いつまでも頬を触られてちゃ我慢出来ない時もあるものよ?」
言い残して、悠里は出て行ってしまった。
何考えてるんだ、あいつ。あたしのこと弄ぶ気なら止めてくれ。そもそもあたしの気持ちは知ってんのかよ。
「知ってたら、どう思います?」
後ろから後輩の声。いつの間に来たんだろう。
「由紀は?」
「テストだそうなので1回戻って来ました」
「そっか。てか、さっきの声出てたのか?」
「あたしの気持ちは知ってんのかよ、は聞こえてました」
「あー……そか。うん」
「胡桃先輩もさっさと告白しないからこうなるんじゃ…りーさん、割とダメージ大きいですよ、あれ」
「見てたのかよ」
「見るつもりなかったですし、人の恋愛事情に口挟む権利はないんですけど、りーさんは」
「悠里は…なんだよ」
そこで漸く思いっきり美紀を掴んでいたことに気付く。サイアクだ。
人に当たるなんてしたくなかったのに。余裕がなさすぎる。
「りーさんはその、好きな人いるん、ですよね…」
「へえ、なんで知ってるの」
「たまたま。りーさんの手伝いをした時に少し話をする機会がありまして」
「そう」
なんとなく解ってた。今日の態度も、ずっと見て来た勘も間違ってない。
「胡桃先輩、」
「めぐねえ、だろ?」
「そ、それは」
図星なのは知ってる。でもせめて。
あんなことはして欲しくなかった。忘れられない、忘れられる訳がない。
「あーあ。いっそ美紀のこと好きになれたらなー」
「何言ってるんですか、りーさんにベタ惚れの癖に」
悠里のいる屋上へと足を運ぶ。
めぐねえのお墓の前で何も言わず静かに立っていた。
やがてこちらに気付いた彼女が口を開く。
「胡桃?どうしたの?」
「あたしもめぐねえに挨拶。それと悠里にさっきの仕返しがしたくて」
「仕返しって…そういうのは」
「はいはい、解ってる」
問答無用で唇を奪う。
本当は悠里の心理なんて解っていない。



「先戻ってる」
「ああ」
そう言って悠里は屋上から姿を消した。あたしはまだ帰る気にならないでぼっーと空を眺める。
何やってんだろ。これじゃ人のこと言えない。視界が歪む。きっと歪んでいるのは視界じゃなくてあたしの。
そこまで考えて首を振る。もう誰でもいいから救って欲しかった。
目に映ったのはめぐねえのお墓。すぐに目線を外す。もう戻ろう。
「挨拶したの?」
「してないな」
「ダメじゃない、挨拶するって言ったのならしないと」
「そっちこそ戻るって言ったのに戻ってないのな」
「ええ。だって胡桃寂しがり屋だもの」
「何それ」
顔を見られたくないあまりに早足で部室に向かう。
後ろからはついてくる音。それを聞くだけで幸せになれる。案外あたしも単純らしい。
それでもいいやと、ふと悠里を見て思った。


あとがき
めぐねえ←りーさん←恵飛須沢+直樹。
書いてないけど、由紀さんはみんなの天使。
こんな話は結局誰も幸せにはならない。
まあ、幸せにならないのも大好きなんですけどね。
[ 2017/07/01] がっこうぐらし!SS |